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小屋楯(宮城県丸森町) [古城めぐり(宮城)]

IMG_3919.JPG←主郭虎口前の横堀状通路
 小屋楯(小屋館)は、斎備前と言う武士の居城とされる。『日本城郭大系』によれば、斎備前は御番組峠御番所の軍治様の先祖で、伊達政宗(貞山公)の時代に相馬氏と合戦した頃に居住した所であると言う。しかし城の造りを見る限り一時的な陣城と見られ、戦国後期の伊具郡を巡る伊達・相馬両氏の抗争の際に、伊達氏勢力が築いた陣城ではないかと思う。

 小屋楯は、標高420m、比高100m程の山上に築かれている。丘陵の尾根が南東に張り出した先のピーク上に位置している。南麓から地形図に記載されている山道が城の北西の尾根まで伸びており、それを使って城まで近づける。但し、この山道は登口が藪に埋もれていて、最初見つけることが出来ず、行き過ぎて牧草地に出てしまい、そこから藪を突っ切ってようやく山道に辿り着くことができた。城は基本的に単郭であるが、北西尾根に複雑な縄張りを施している。尾根筋を城に近づいていくと、堀切を兼ねた多重横堀が構築されている。四重ほどの横堀で、一番外の横堀内側の土塁は武者溜り状の独立堡塁となっている。またこの多重横堀の南側方には土塁で囲まれた堀底道が二重に構築されており、内側のものは主郭に通じ、外側のものは腰曲輪への桝形虎口に繋がっている。腰曲輪への桝形虎口には、竪堀状通路から腰曲輪木戸口に登る石段らしきものも見られる。主郭虎口も少々複雑で、横堀状通路から土橋で進入するように形成されている。手前には仕切り土塁もあって、虎口への進入路の障壁となっている。主郭虎口に繋がる土橋は虎口と位置がズレており、進入動線を屈曲させている。この構造は、信濃三日城の虎口動線と同じで類例は少ない。主郭内部はあまり明確ではないものの数段の平場に分かれており、山形県置賜地方の山城に多い「重餅型」と呼ばれる多段式の曲輪である。主郭外周には帯曲輪1段が全周し、南から西にかけては帯曲輪は2段構築されていて、前述の多重横堀・出桝形と接続している。以上の様に小屋楯は、複雑な桝形虎口や変則的な出枡形を有し、横堀中間の武者溜りなど、前川本城とも縄張りの共通点が多い。伊達氏系山城の特徴を有し、小規模な城ながら北西部に一点豪華主義とも言える厳重な防御構造を備え、目を見張るものがある。
多重横堀の一部→IMG_3921.JPG
IMG_3907.JPG←腰曲輪への桝形虎口
お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/37.883051/140.706754/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f1

※東北地方では、堀切や畝状竪堀などで防御された完全な山城も「館」と呼ばれますが、関東その他の地方で所謂「館」と称される平地の居館と趣が異なるため、両者を区別する都合上、当ブログでは山城については「楯」の呼称を採用しています。


東北の名城を歩く 南東北編: 宮城・福島・山形

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  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 吉川弘文館
  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: 単行本


タグ:中世山城
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