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西牧根小屋城(群馬県下仁田町) [古城めぐり(群馬)]

IMG_1650.JPG←主郭
 西牧根小屋城は、小田原北条氏の家臣庭屋安芸守直成か、その子直澄が築いたとされる城である。『境目の山城と館 上野編』によれば、庭屋氏は藤原道長の7代の孫親能の3男親直が源頼朝の近習として仕え、武功によって上野国多胡郡・群馬郡・緑野郡の3郡を拝領し、甘楽郡新屋の庭屋に入部して、庭屋氏を称したとされる。その後、執権北条氏が新田義貞の鎌倉攻めで滅亡すると、庭屋直常も討死して、残された一族は安芸国厳島に落ち延びた。戦国時代になると、厳島に居た庭屋右衛門直尹は伊勢宗瑞(いわゆる北条早雲)を頼って父祖の地、上野へ下向した。その後を継いだ安芸守直成は、小田原北条氏2代氏綱の近習となり、重臣として活躍した。氏綱が没すると直成は殉死し、子の安芸守直澄が跡を継ぎ、北条氏康の命を受けて西上州平定のため新屋の庭谷城と西牧根小屋城を築いた様である。1559年、直澄は庭谷城で武田氏の間諜に殺され、嗣子右衛門太夫直元が根小屋城主となった。1565年、武田信玄が倉賀野城を攻略すると、この地は武田氏の支配下に入り、国峰城には小幡憲重を入れ、支城の庭谷城へは上原図書入道随応軒と庭屋左衛門尉大夫兼行を西上州7郡の惣横目(監視役)に任じて配置した。その為、直元も武田氏に服属して庭谷城の副将となった。その後、武田氏が滅び、織田氏の部将滝川氏も没落して上野国の大半が北条氏の支配下となると、直元は北条氏に従い、1590年の小田原の役で北国勢の別働隊、真田安房守昌幸の攻撃を受け、根小屋城は落城した。直元は城を逃れ、1605年に没したと言う。以上が『境目の山城と館 上野編』の記載であるが、北条氏が重臣を勢力圏から外れた地に移封したということも解せないし、庭屋直成という武士の事績も手元の文献やネット上では確認できないので、どこまで事実なのか何とも判断し難い。
 尚、西牧城の項で記載した通り、小田原の役の時、北条氏が派遣した武蔵青木城主多米周防守長定と相模藤沢城(御幣山砦?)主大谷帯刀左衛門嘉俊の2将は、共に西牧城を守ったとも、西牧城と根小屋城に分かれて守ったとも言われている。

 西牧根小屋城は、標高520m、比高140mの山上に築かれている。西麓の街道筋には源太屋敷と呼ばれる居館部があり、その背後に屹立する天狗岩を物見台とし、山稜上に小規模な詰城を築いた、この地域の城に多い構造となっている。まず居館の源太屋敷は、現在は畑となっているが、段が築かれ石垣が築かれている。石垣は往時の遺構とは見做し難いが、遺構の石垣も全くゼロではないかもしれない。源太屋敷の南端に榛名神社があり、その裏を登っていくと斜面上に段がいくつも築かれ、そこにも石垣がある。しかしさすがにこれは畑の石垣だろう。この斜面を登りきると、城の西側の尾根に至る。この尾根の西端が天狗岩で、物見台と腰曲輪が築かれ、祠が置かれている。この祠は庭屋安芸守が建てたと言い伝えられているらしい。一方、尾根を東に進むと詰城に至る。西尾根からの城道は大きく南に斜面を迂回して、主郭の南尾根の段曲輪群に通じている。『境目の山城と館 上野編』の縄張図にある「片流れの堀切」は、実際には前述の城道が繋がる虎口である。また主郭の南斜面には何段かの帯曲輪が築かれている。南尾根曲輪群から主郭へは斜度がきつく、直接主郭に道が通じていたのではなく、この帯曲輪を経由して主郭東側の堀切へ通じていたらしい。この堀切の西側上方に1段腰曲輪があり、その上に主郭がある。主郭は大きくはないが、西牧城の砦よりは遥かに広い。主郭の北西や西側には腰曲輪が見られるほか、小規模な石積みも確認できる。主郭の東尾根には二ノ郭・三ノ郭が築かれ、それぞれ小堀切で区画されているが、いずれも細尾根の狭小な曲輪である。三ノ郭の東に小郭が置かれて城域が終わっている。遺構は以上で、西牧根小屋城は、山麓居館と詰城が一体運用された城だった様である。ちなみにこの城では、立派な鹿のツノをGetすることができた。

 尚、この城は各種城郭本では単に「根小屋城」と呼称されるが、群馬県内には同じ名の城が多いので、ここでは便宜上、「西牧根小屋城」と表記した。
源太屋敷の石垣と屹立する天狗岩→IMG_1599.JPG

 お城評価(満点=五つ星):☆☆
 場所:【源太屋敷】http://maps.gsi.go.jp/#16/36.250217/138.706212/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1

    【山上の詰城】http://maps.gsi.go.jp/#16/36.250157/138.708529/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0f1


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タグ:中世平城
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