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高舘城(宮城県名取市) [古城めぐり(宮城)]

IMG_5226.JPG←主郭と西之丸の間の堀切
 高舘城は、伊達氏の拠点城郭であったと推測される。伝承では、1175年に奥州藤原氏3代秀衡が館を築き、1189年の源頼朝による奥州合戦の際、藤原勢がこの城に立て籠もって鎌倉勢を迎え撃ったと言われている。南北朝時代の観応の擾乱の際には、1351年、多賀城を巡る攻防で奥州管領(後の奥州探題)吉良貞家が陣を置いた「羽黒城」「名取要害」は、高舘城のことと考えられている。戦国前期の伊達稙宗の時代には、名取郡を押さえた稙宗が一時居城し、後に家臣の福田駿河守を城主として置いたとされている。

 高舘城は、仙台平野南半を見下ろす高舘山の東峰、標高180mの山上に築かれている。巨大な城郭で、仙台平野周辺に築かれた中世城郭では最大の規模を持つ。山頂に広大な長方形の主郭を置き、その周囲にニノ郭群を廻らしている。主郭には東と南東に虎口が築かれている。南東のものは大型の桝形虎口で、これが大手虎口であったと思われる。一方、東側のものは虎口の前面に櫓台を設けた出桝形で、規模が小さいことから搦手虎口であったと思われる。また主郭の西辺部には大土塁が築かれている。ニノ郭群は、独立性の高い数個の平場に分かれ、現地解説板の縄張図ではそれぞれ北之丸・東之丸・南之丸・西之丸と称している。位置的に最も高い位置にあるのが東之丸で、側方に搦手道が通っており、搦手の防衛を担っている。西之丸と南之丸は主郭との間に堀切兼用通路を設けて独立性の高い区画としている。ニノ郭群には南東・東・南西の3ヶ所の登道があり、南東のものが大手枡形虎口に繋がっている。東のものは登り口に櫓台がそびえており、登っていくと搦手虎口に通じている。南西のものは竪堀状の城道となっている。南之丸の南側には大堀切があり、その先に秀衡ヶ崎と呼ばれる三ノ郭が広がっている。三ノ郭の外周には帯曲輪が廻り、南端は円弧状の堀切となっている。以上の曲輪はいずれも広くかなりの兵数が駐屯可能であるが、一部の郭内は傾斜しており削平が甘い状態である。これら主城部は、北西の尾根筋を三重堀切で分断している。
 主城部以外に、南東・東・北東・北の4つの尾根に遺構群があり、南東の尾根は更に途中で南・東の支尾根に分かれて遺構が存在している。南東の尾根は細尾根上の平場群の先に高舘山古墳があり、大型の前方後方墳であるが城の一郭として利用されている。古墳登り口も出桝形っぽい形に作られている様だ。古墳の南西から南東にかけて腰曲輪が数段ずつ構築されている。南西の腰曲輪から伸びる南の支尾根には二重堀切・小郭・堀切が構築されて尾根筋が防御され、その先に2ヶ所の物見台が置かれている。また古墳南西の腰曲輪から南の支尾根には城道が伸び、降った先では土塁を伴ったつづら折れの城道が構築されている。従ってこの登道では、180度の旋回を何度も強制されることになる。東の尾根にも尾根上の曲輪群があるが、脇に登山道があるので一部破壊を受けている。尾根先端に円弧状の堀切が穿たれているが、この堀切は登山道をまたいで南斜面まで続いており、堀切南西端部は虎口となっている。その下に南東に下る城道があり、前述のものと同様につづら折れの城道になっている。北之丸の北東には、堀切を挟んで北東尾根の遺構群がある。細尾根上の曲輪群であるが、この尾根だけ北側斜面に延々と横堀が穿たれている。尾根の先には曲輪を挟みながら3つの堀切が穿たれており、それぞれ横堀と接続しており、先端のものは横堀がそのまま堀切となって尾根に回り込んでいる。北之丸の北側にも堀切を挟んで土塁が築かれ、その外側に更に堀切と小郭が置かれている。

 以上が高舘城の全容である。高舘山古墳の先の支尾根の遺構群は、現地解説板の縄張図には記載されていない。縄張的には、桝形虎口や横堀が多用され、大型の堀切も備え、出羽鷺城との類似点も多く、伊達氏系山城の特徴を備えている。また伊達氏の山城の規模としては陸奥桑折西山城に匹敵する。伊達稙宗が一時居城としたとする伝承は、十分首肯できる。但し、全体に整備があまりされておらず、部分的に薮がひどいので、ゴーグルは必須である。整備されたらどれほど見事な遺構であるかと思うと残念である。尚、東麓と西の車道から登山道が整備されている。
主郭の大手桝形虎口→IMG_5356.JPG
IMG_4947.JPG←南支尾根の二重堀切
つづら折れの城道→IMG_4988.JPG
IMG_5098.JPG←北東尾根の横堀

 お城評価(満点=五つ星):☆☆☆☆☆
 場所:https://maps.gsi.go.jp/#16/38.189423/140.841594/&base=std&ls=std&disp=1&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f0


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