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ムーティ/ウィーン・フィル来日コンサート2008(その1) [クラシック音楽]

 一昨日の16日、かねてより楽しみにしていたムーティ/ウィーン・フィルの来日コンサートに行った。以前にも書いた通り、何年も前にこの組合せのコンサートチケットを苦労して入手したのに、聴きに行きそびれるという大失態を演じた過去があるので、今回は満を持して乗り込んだ。(それも自分のBEST10に入るほど好きな曲、シューマンの第2番で!)

 そうした過去の経緯からだけでも垂涎のコンサートなのだが、このコンサートは更に曲目がすごい。ハイドンの交響曲67番とブルックナーの交響曲2番である。まずハイドンは、その名声に比して現代では演奏会で取り上げられること自体が珍しい作曲家であるが、その交響曲はベートーヴェンからプロコフィエフまで、多くの作曲家が魅了される、極めてチャーミングでウィットに富んだものである。私はモーツァルトの交響曲よりハイドンの方が好きなぐらいなので、ムーティ/ウィーン・フィルという比類のない組合せで聞けるのは、またとないチャンスである。しかもハイドンの交響曲の中でも、後期の有名なロンドン・セットやパリ・セットではなく、中間期の67番という渋さ!今回初めて聞く曲だ。
 そしてもう1曲のブルックナーだが、これも実演されることが極めて少ない第2番である。私の好きな作曲家であるブルックナーの作品の中でも、好きな交響曲の1つだ。この交響曲でブルックナーは初めて、独特の神秘性、波が寄せては引いていくような広大無辺とも言うべき楽想の広がりを実現したのである。
 自分の大好きな作曲家、大好きな曲だが、実演に接することはこの先もほとんど出来ないだろう。まさに一期一会のコンサートである。

 今回、サントリーホールに来るのはおそらく10年ぶりぐらいになる。宇都宮に越してきてからは栃木県文化センターでのコンサートぐらいしか行っていないが、この文化センター、音響効果が恐ろしく貧弱で、残響がほとんどないのである。オーケストラの音が、これでもかというぐらい乾ききった音で本当にひどいものであるが、それとは雲泥の差。やはりサントリーホールの音響は素晴らしい。最初のハイドンは、オケの編成はやや小規模だが、ホールの豊かな残響のおかげで、非常に心地がよい。またこの交響曲はハイドンらしい遊び心や実験的手法が随所に用いられていて、たとえば第2楽章最後のヴァイオリンを弓で叩いてリズムを刻んだり、メヌエットのトリオでは、ソロ・ヴァイオリン2本だけの室内楽的な掛け合いを用いるなど、非常に面白い構成である。このトリオでは、第1ヴァイオリンのTOP(もちろんコンサートマスターのキュッヒル)と第2ヴァイオリンのTOPが2人だけで掛け合うのだが、ムーティは2人の自発性に任せて完全に指揮をやめてしまっているのが、見ていて面白かった。

そして休憩を挟んで、いよいよブルックナーの第2番である。ムーティのブルックナーなんて、今までテレビも含めて聴いたことがないし、イタリア人の指揮者なので果たしてドイツ音楽のブルックナーがどのように振られるか一抹の不安があったのだが、聞き始めたらそんな不安は完全に消し飛んでしまう、素晴らしい演奏だった。ムーティは第1楽章と終楽章のコ-ダだけは速いテンポで振りきったが、それ以外は基本的にインテンポで通し、要所で微妙にテンポを揺らすだけなので、芯が安定しており、ブルックナー特有の波が寄せては引いていく、うねりの様な感じが見事に表現されていた。(NHK-BSで以前に聴いたアバドなどは、歌に傾斜してテンポを変に揺らし過ぎてしまい、ブルックナーの神秘性が表出されなくなってしまう。カラヤンがかつてインタビューに答えた通り、ブルックナーの指示は「もっと微妙なテンポ」なのである。)緩徐楽章も美しい。楽器の音のバランスも全体を通して素晴らしく、聴き終えた時は感動で体が震えたぐらいだった。聴き終わったときにこれほど感動したコンサートはこれまでなかったと思う。

 アンコールは、マルトゥッチの夜想曲。ムーティのスピーチに曰く、「ブルックナーの後に演奏するのは不可能です。しかし皆さんにイタリーから小さな贈り物をささげます。」という曲である。初めて聴く曲だったが、弦の響きとハープが素晴らしい。(なんでハープが置いてあるんだろうと思ったら、この曲のためだった。)瞑想的な雰囲気の曲で、ブルックナーの後にアンコールとして持ってくるのにふさわしい、優れた選曲だった。マーラーの交響曲第5番の有名なアダージェットに似た感じの曲だと思ったが、後で調べたらマルトゥッチの方が先達らしい。

 ハイドンからマルトゥッチまで、ムーティの選曲のセンスのよさの光るプログラムで、それを更に際立たせる優れた演奏。そして何より、予想以上に素晴らしかったムーティのブルックナー。ムーティはブルックナーをほとんどレコーディングしていないが、もっとほかの曲も聴きたいと思った。

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