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菅直人は本当に無能だったのか? [雑感]

今日は、3月11日。
運命の日から丸1年である。
あの日、自分がどこで何をしていたか、
東日本で生活していた誰もが、死ぬまで忘れることはないだろう。
そして国のあり方をも問い直す、重大な事態も発生した。
福島第一原発の事故である。

その福島原発事故については、未だに原因究明が完了していない。
正確な検証がされないまま、発生からの約半年間、
もっぱらマスコミや野党の攻撃の的になっていたのは、
菅前総理の「無能」ぶりだった。
Googleでは、「菅 有能」と入れて検索すると、
予測検索機能で「もしかして『菅 無能』」と出てしまうなどの笑い話もあった。
しかし本当に菅総理は無能だったのだろうか?

最近、ようやくその実情が見えてくる情報が出始めた。
民間事故調による報告書や朝日新聞の「プロメテウスの罠」と言う連載などでの
内部証言である。

 ※私はまだ民間事故調報告書の原文を入手していません。
  あくまで「マスコミ」というフィルターを通して入ってきている情報に基づいています。
  しかも民間事故調を主催している「日本再建イニシアチブ」という団体自体が、
  政治的に偏向しているとの噂もネット上ではあふれています。
  そんな中から、各種の情報・報道内容を照らし合わせて、
  もっともらしいと思う情報を自分なりに選別して、
  これらに基づいてこの記事を記載しています。

その中でわかることは、「イラ管」と揶揄される菅総理のキレっぷりもさることながら、
原発の事態の深刻さをかなり早い段階で認識し、
日本を救おうと奮闘する姿ではないだろうか。

津波の被害よりも何よりも今後の日本を左右する重大な事象、
まず最も優先して対策しなければならない福島原発事故に、
総理自らが正面切って取り組んだのは、間違いなく正しい判断だったろう。
格納容器が爆発すれば、大量に飛散した放射性物質によって、
日本の国土の半分には人が住めなくなっただろう。
そして今頃は多くの人が、放射線障害で死に始めているだろう。

そんな危機的事態が時々刻々と深刻さを増す中、
例えば、格納容器の内部圧力が上昇して爆発危険性が増大したため、
緊急回避としてベントをする、と東電も保安院も言いながら、
それが夜半になっても実施されない。
なぜやってないのか?と政府首脳がきいても東電フェローも含めて誰もわからない。
全く現場の事態を把握できない東電と保安院に業を煮やして、
震災の翌日、菅総理は福島原発の状況把握に現場入りした。
枝野官房長官から「絶対に後から政治的に批判される」と反対されても・・・。

枝野官房長官から止められた菅総理はこう言ったという。
「政治的に非難されるのと原発をコントロールできるのとどっちが大事なんだ」
自己への批判を顧みず、国の危機に当たる、十分称賛に値する言葉ではないか。
この一言と、その後東電本店に自ら乗り込んで「撤退はありえない」と
語気を強めて迫ったこの二事によって、
菅直人は歴史に名を残すだろう。

外から政府の対応を批判するだけで、被災地入りもせず、
ボランティアに精を出すわけでもなく、
東京でふんぞり返って結局何も動かなかった小沢一郎なんかとは雲泥の差だ。
もちろん国家の重責を担う首相と、
強制起訴中で活動自粛中の一政治家との立場の違いはあるとしても、
本当に国のことを思う政治家だったら、
自ら官邸に乗り込んででも、
あるいは現地入りして現地の実情を伝えて不足支援を要請するなどしてでも、
何をおいても必要な協力をすべきだったろう。

また民間事故調報告では、官邸が次々と現場介入して、混乱を招いたと批判されているが、
官邸当事者の一人下村氏のツイッターでの記事などを読むと、
保安院・原子力委員会・東電、いずれもとにかく無能で仕方がなかったようである。
現地の状況は全く把握できていないし、
質問をしても、次の対策を聞いても、
「地蔵の如く押し黙ったまま」、何も対処法を出せなかったらしい。
東電の武藤副社長も「ベントは電源がないからできない」とただ言うだけで、
どうしたらできると言う対策は出てこない。
日本の半分が壊滅し、人がこの先数百年住めなくなるかもしれない事態を目の前にして、
この体たらくである。
こうして、何もできず、悪化する事態にただ手をこまねいている状況が続いたから、
官邸が乗り出したと思われる。

もし官邸の介入を批判するならば、
官邸が介入せず、そのまま保安院や東電に任せっきりにしていたら、
どういう事態になっていたか、
それをきちんと検証すべきであろう。

総理自らバッテリーのサイズや重さ等細かいことを聞いて、
側にいた人が「ゾッとした」と、マスコミがこぞって書き立てた件も、
証言した当人(下村氏)のナマの証言は次の通りである。

『私は、そんな事まで自分でする菅直人に対し「ぞっとした」のではない。そんな事まで一国の総理がやらざるを得ないほど、この事態下に地蔵のように動かない、居合わせた技術系トップ達の有様に、「国としてどうなのかとぞっとした」のが真相。総理を取り替えれば済む話、では全く無い。』
『実際、「これどうなってるの」と総理から何か質問されても、全く明確に答えられず目を逸らす首脳陣。「判らないなら調べて」と指示されても、「はい…」と 返事するだけで部下に電話もせず固まったまま、という光景を何度も見た。これが日本の原子力のトップ達の姿か、と戦慄した。』

この国難に当たって、とにかく官僚と東電は無能だった。
いずれも当事者意識が希薄で、自分たちが何とかしなければ、
国が潰れるという危機意識は伝え聞く話のどこからも感じられない。

SPEEDI試算の情報が生かされなかった問題にしても、班目原子力委員長は
「あれは文科省の所管だから、文科省から言うべき」と発言しているが、
多くの人命に関わる非常事態を前に、どこの所管とかこだわる意味があるのか?

議事録未作成問題では、
大臣などの政治家が一々「議事録取れよ」と言わないと議事録取らない官僚って何なんだ?
「他の部署で議事録書くと思ってました」って、中学生の言い訳レベルの話である。
「そっちで議事録書くよね?」と、
会議後の別れ際に実務者同士が一言確認すれば済む話である。
そんなことは、我々社会人は会社でみんなやっている。
一々社長や取締役に、議事録作成を指示されないとやらない社員など、
民間会社ではありえないし、
未作成で社長や取締役が非難されることもありえない。
最も批判されるべきは、平和ボケして危機対応が全くできない官僚であろう。

こういう状況について、官僚を批判せず、政府の政治家のみを批判するものは、
全て霞が関に取り込まれて偏向報道を行うマスコミと見て良いと思う。

ところで昨年、経産省の官僚たちは、海江田大臣をコントロールして、
独断で原発再稼働を進めようとした。
これに待ったをかけたのも菅総理であったが、
独断とこぞってマスコミや野党から批判された。

これなども、なし崩しに無理やり原発を再稼働させようと目論む、
「原子力ムラ」と呼ばれる原発マフィアの、
一大ネガティブ・キャンペーンであったことは、今から見れば明らかである。
今では菅総理が主張した最低条件のストレステストでさえ、
不十分との意見も多く聞かれるほどなのに、
それも全くせずに経産省は安全宣言を出して原発再稼働を強行しようとしたのだから、
これほど国民に対する背信行為はない。
この経産省の暴挙を阻止した菅総理の判断が正しかったことは、
現在では論を待たない。

また国内で最もリスクの高い浜岡原発に、一早く停止要請をしたことも、
評価に値する決断であった。

減原発を主張し、再生エネルギー利用へとエネルギー政策のかじを切る菅総理の主張も、
今後、否応なく重みを増してくるだろう。

想像を絶する災害と危機対応能力が欠如した官僚群を目の前にして、
ベストなことが出来る政治家は、
おそらくどこにもいなかったろう。
それでも、自分への批判など顧みず、
ベストではなくとも、ベターと思われることをした菅総理に対して、
それを無能と断ずることのできる者はこの国にいないのではないかと思う。

ただ惜しむらくは、メルトダウンの危険性など、
もっと早く国民に危機の真実を語るべきであった。
政府の情報開示には、情報隠蔽と思われても当然という側面も間違いなくあった。

菅総理が、最初からもっと国民に危機的状況の真相を伝え
(官僚の無能ぶりまで真っ正直に伝えられては国民はパニックになるが)、
一呼吸置いて多少とも鷹揚な態度で周囲とことに当たっていれば、
もっと評価されていただろう。

しかし少なくとも、菅直人の着眼点は的を得ており、
決しては無能ではなかったと私は思う。
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evergreen

調査委員の会見みていると、システムの不備をしてきしているように思えました。

先日、報告書を詳細に検証しているジャーナリストがいましたが、
判断ミスと言えるのは、注水の中止を命じた事くらいだと思えました。
これは所長の判断で続けられたのはご存知の通りです。

逆に、他の人間なら何ができたか、と思う事も多くあります。
菅氏の突破力が生きた場面も多くあったと思えました。

混乱した事は事実だし、
情報の隠蔽もあったでしょう、批判されてもしかたがないと思いますが、
そもそも、これだけの問題に首相の力量が問われてしまうシステムが問題で、
それは現在もなにも変わっていませんね。

なにが再起動だ、どこが変わったのか、と思ってしまいます。
by evergreen (2012-03-12 22:30) 

アテンザ23Z

>evergreenさん
おっしゃる通り、組織的な対応が機能しなかったのが一番の問題で、
総理大臣となった個人の資質の問題云々ではないですよね。

注水中止のミスジャッジも、
結局官邸をサポートすべき保安院・原子力委員会などが
明確な技術的進言ができなかったからだと推測します。

一方で、非常時に対応出来るだけの力量を持った
原子力技術者が国の中枢で育っていなかったという、
根本的な問題も明らかになりました。

この力量不足の人達が、今までの延長線上の審査で
原発安全と言っても誰も信じないんですけどね。
欧米の技術スタッフを主要ポストに据えないと
おそらく何も変わらないでしょう。
by アテンザ23Z (2012-03-13 02:29) 

ステレオ

全く同意します。

自民党政権下でできた無事故が前提の体制で「事故対策マニュアル」もない原発で、官僚も現場も機能停止してしまった。
そこで、菅首相自らが指導せざるを得なかった。
と考えています。

事故以前から菅首相は再生可能エネルギーの買取法案を準備していた。
マスコミも自民党の尻馬に乗って、菅首相を批判。
再生可能エネルギーの買取法成立と引き換えに菅さんは首相の座を去りました。

ところが、電力会社は「再生可能エネルギーの発電量が需要を上回る」という理由で再生可能エネルギーの買取を保留。再生可能エネルギーの買取法違反です。その法律違反を放置し、安倍政権は川内原発を再稼働。

菅さんがずっと首相でいれば再生可能エネルギーが取り入れられ、原発の再稼働もなかったと思っています。
by ステレオ (2015-08-20 09:26) 

アテンザ23Z

>ステレオさん

ご賛同いただきありがとうございます。
菅さんの不人気は、原発推進派によるネガティブキャンペーンがいかに大々的に、かつ効果的に行われたかを証明していると思います。

現場に当たり散らしたとか、吉田所長が強い不快感を抱いていたとか、それは事実で、やはり菅さんの狭量と性格の悪さに起因しており、批判されるのは当然ですが、狭量・性格の悪さと、その時の脱原発などの判断が正しかったのかどうかは、全く別次元の話です。

また例の東電「撤退」問題ですが、吉田所長が調書の中で「撤退なんて言ったことはない」と証言していますが、確かに吉田さん自身は言ってないかもしれないけれど、実際に政府と交渉した東電窓口(というか社長やフェロー)がどう言っていたのかは、これまた話が異なります。当時の政権幹部の複数の人間が、「撤退と受け止めた」のが事実であるので、それはやはり東電のコミュニケーション能力の欠如を露呈したものでしょう。またとかく英雄的に扱われることの多い吉田所長自身、実際には原子力ムラの中心の一人かつ東電の執行役員であり、またかつては原子力設備管理部長として福島原発の津波対策の実施不要を判断した責任者、即ち福島原発事故の元凶そのものであったことは十分考慮してしかるべきでしょう。その人の、反原発派政治家に対する証言ですから、吉田調書の内容も実際以上に誇張されている可能性は否定できません。

それから、原発再稼働と核燃料サイクルの推進によって、将来の核武装を目指している日本会議も、この菅さんへのネガティブキャンペーンに影で大きな影響力を発揮していたのだろうと、今になってみるとよくわかります。鉢呂経産相の「死の街」発言の辞任騒動も、脱原発路線を敷いていた鉢呂さんに対して、原子力ムラと日本会議が裏でマスコミを操った、巧妙なネガティブキャンペーンであったわけです。

我々国民は、こうした胡散臭い連中の情報操作と、それに迎合したマスコミの偏向報道に惑わされないよう、一時の感情を抑えて理性的に判断することが、今後ますます求められます。
by アテンザ23Z (2015-08-22 23:23) 

おおたたすく

皆さま必死ですなあ
菅直人は、無能です
親として子どもをまともに育てられなかった
総理としての引き際は?
本当恥ずかしい人でした、ご冥福をお祈りいたします
by おおたたすく (2017-06-05 12:34) 

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